TOP > SUDA MADE > いなむらメカの雑談 > 上達の道に迷わない「クリッピングポイントを奥にとる」事は無い話し。

制作日誌

いなむらメカの雑談

上達の道に迷わない「クリッピングポイントを奥にとる」事は無い話し。

2025.11.12


今回は、上達の道に迷わない走行ラインと用語のお話です。

世間一般の話し方からすると、

もしかして、これは自論なのかも?と、

不安に思うところもありますが、

安全のためにも、上達の為にも、とても大切なイメージの話しです。


峠道やコースを走るとき、道幅のどこを走ると良いのか?

という走行ラインの説明は、

雑誌やネット、ライディングスクールでも、

必ずと言っていいほど出てきます。

走行ラインは、安全に上手に走るために必須のイメージです。

でも、

単語の定義が曖昧で、

イメージや意味が正確に伝わり難いものでもあります。

まず、

走行ライン(ライン)とは、

バイクが走行する(走行した)時のコース(道路)上の軌跡のことです。

そして、走行ラインの中で理想の最速の走行ラインを

「レコードライン」(またはセオリーライン)と言います。

実際にはバイクの性能や特性によって多少の違いはありますが、

一般的に示されるのは、

コースに対して充分に加速性能がある車両で走行した時の理想の最速ラインです。

コースを最も速く走ることができる、という事は、

速く走るために最も楽で効率が良いライン、とも言えますので、

「レコードライン」=「機能的に最も安全に走れるライン」

と、捉える事もできます。


このレコードラインを走る上で重要なのが、

「クリッピングポイント」です。



◯クリッピングポイントの定義と意味を明確に。


クリッピングポイントは、

一般に(昔から)、

「コースを速く走る時のライン=アウト・イン・アウトの一番インに寄る場所。」

というように説明されています。


この説明から、しばしば、

アウト・イン・アウトでインによれば、

そこがクリッピングポイントです。

と、思われがちです。


しかし、この定義を冷静に考えると、

「コースを『速く走る時』のライン=アウト・イン・アウト、、、」 という説明ですから、

このラインは、レコードラインを指しているという事が判ります。

出来るだけ大きな円を描いた様なラインでは無いと言う事ですね。

つまり、もっと明確に定義を言い換えると、


『クリッピングポイントは、レコードライン上のインに寄る場所』


と、なります。


位置的には、

コーナーの頂点(APEX=エイペックス)より少し奥(先)になります。


道路やコースにはラインは書いてありませんから、

インに寄る理想の位置=クリッピングポイントが

レコードラインをトレースするための大切な目標地点となります。

レコードラインとクリッピングポイント.pdf


◯「クリップは(APEXより)奥にある」が、「クリップ『を』奥にとる」事は無い。


ところが、

雑誌やネットを含めたライン取りの会話や説明の中では、

ラインによってクリップに付く場所が変わる、、、とか、

ブラインドコーナーの時は、クリップを奥に取る、、、

という表現が出ている事が沢山あります。

特に公道でのライン取りの話をする時に多く見受けられます。


理想のクリッピングポイントの位置は決まっていますから、

「クリップを奥に取る」という表現は真にうけずに、

レコードラインを外れるものは、

「クリップより奥でインにつく。」

「クリップより手前でインに付く。」

「クリップに付かない(付く事ができない)。」

という表現で解釈する方が正確にイメージしやすいと思います。


誤解により
無理なライン(クリップ)をベストと思い込んで

上手に速く走ろうとすると、

無理があるから転んで怪我もしやすい。

これでは、上達の道に迷ってしまいます。

複雑なコースのレコードラインは、どうなるのか?は、

ぜひサーキットのコース図を見ながら、

MotoGPなどレースを観戦などを楽しんで勉強しましょう。

これは初心者からオススメです。


また、公道でもレコードラインを走ることができれば理想ですが、

道路の先の形状や路面状況が不明なのはもちろん、

道幅の制約や対向車の存在など、

状況的にレコードラインを外れるケースが多いです。

機能的に安全ではない走りにくいラインをとるという事は、

安全に速く走ろうとするのは、さらに難しいとも言えます。

公道は、ペースをしっかり落として、十分余裕を持って走りましょう。


「クリッピングポイント」は、

機能的に安全で速いレコードラインを通るための唯一の目標地点です。

言葉も意味もイメージも魔改造せずに大切に扱うことをボクはオススメします。


その上で、公道では危険予測&回避を含めて

状況に応じたスピード調整とライン取りをして、

どうぞご安全に、楽しい走行を。


そして、安全に思い描く通りに走行するためには、

キチンと正しく機能するバイク、メンテナンスが大切です。

新車、点検修理、メンテナンス、マイクロロン、保険、など

ご購入、ご依頼、ご加入は、ドクター須田までどうぞ。


次の制作日誌を表示 >

< 前の制作日誌を表示

コメント

コメントする