逆輸入の新車は、この様に鉄箱に入って到着します。車体は厳重に固定されています。
車種によってはフロントタイヤが取り外されており、フロントアクスルが直接箱に固定されている場合もあるのです。

箱を台車から降ろし、鉄箱を解体します。上枠、横枠を取り外した後、トップブリッジを
チェーンブロックで吊り、下枠を抜きます。

はじめに、車体のキズ、塗装の不良等が無いか確認します。付属品（スクリーン、ミラー等）の取付を行い、バッテリーを充電します。
※バッテリーは「即用式」と言い、電解液を入れれば一応使えるようにはなりますが、ここで充電を行う事が大切です。

キャリパーからブレーキパッドを取り外し、面取りと脱脂を行います。（写真はフロントブレーキ）
※ブレーキには、錆止め用の油が塗布されています。

ブレーキディスクも脱脂を行います。パッド裏側、キャリパーボルトにパッドグリスを塗り、組み付けます。
※パッド裏側はブレーキの鳴き止め、キャリパーボルトはカジリの防止です。

前後タイヤの空気圧を点検し、必要であれば調整を行います。
※今回は不足気味でした。

チェーンの遊びを点検、必要であれば調整を行います。※今回は若干張り気味でした。

前後サスペンションのダンパー調整を確認します。

前後ブレーキのブレーキ液量、液漏れを確認します。
エンジンオイル量、リザーバータンクの冷却水液量を確認します。

ワイヤー類（クラッチ、アクセル、チョーク等）の調整、動作確認を行います。
必要に応じて、作動部分への給油を行います。車体各部に緩みが無いか確認します。

エンジンの同調調整、パイロットスクリューの調整（キャブレターの場合）を行います。

インジェクション仕様の一部では、スロットルポジションセンサーの調整を行います。
車体左後ろにあるコネクタを取り出し、専用ツールを接続します。下側の写真左側（「C00」左側の表示に注目）
が正しく調整されている場合。これがズレていると、右側の写真の様な表示になります。

シャシーダイナモ上にて、公道上で不可能なレベルの、極初期の慣らし運転を行います。最初の1時間はニュートラルで行い、後の2時間は後輪を回して行います。
※納車後の慣らし運転も必要になります。
※後輪でスピードメーターを作動させているモデルは、積算計が進みます。

車両を検査場に持ち込みます。車検ラインを通した後、車重と車体寸法を計測します。
このGSX-R1000は排ガス規制後の生産なので、排ガス検査も行います。

検査に合格すると、車検証とナンバープレートが発行されます。

組み立てから整備までを担当したメカニックとは別のメカニックが、改めて各部の確認を行います。
ここまで新車整備に関わらなかったメカニックが点検することで、より確実で先入観の無い整備体制としています。

メカニックによる簡単な試乗を行い、実際の操作感を確認します。
最後に車体全体を磨き上げ、新車整備の完成となります。