いなむらメカの雑談
2025.08.14
2025年の8耐、観ましたか?
長時間、ハイペースを維持するライダー達の体力と忍耐力と技術に感動しました。
でもそれ以上に、
壊されたバイクを(きっと心で泣きながら)修理するメカニックに「お疲れ様、頑張りましたね」と言いたいです。
サーキットではハングオフをするので、
見た目でわかりやすいと思いますが、
ブレーキのフォームとコーナリングフォームは、同じではありません。
ブレーキをリリースしたら、(またはブレーキをかけなくても、)
フルバンクではコーナリングフォームです。
サーキットだけでなく、白バイ大会でも、
モトクロスでも、
(形は違いますが)フルバンクではコーナリングのフォームです。
バイクにとって大きな重量の身体を有効に使って、曲がりやすいよう働きかけていると言っていいと思います。
『身体の遷移(前傾度)は、横回りから縦回りへの移行』
バイクがターン(コーナリング)をする時は、
徐々にバンクを増やして、旋回をしていきます。
物理的には、
円運動(公転)に移りながら、
スピン=横回転(自転)をしていく運動をします。
ターンに移る(向きを変える)ということは、
「定常円旋回に向けてスピンを加速する。」とも表現できます。
スピンの軸は、もちろん地面に垂直です。
直進では、バイクは立っていますから、
バイクの軸(バイクの傾き)と自転の軸は揃っています。
では、
コーナリングに移っていく時はどうでしょうか?
バイクは、
ターンするために、バンクを増やしていき
車体(自分)が斜めになりながらスピンを増やしていきます。
ターンの時のバイクの動き.pdf
でもスピンの軸は、ずっと地面と垂直ですから、
バイクの軸(バイクの傾き)とスピンの軸はズレていきます。
ライダーにとっては、
身体に感じる重力感(重力と遠心力の合力)は、
いつもと同じ頭の上からなのに、
スピンの方向はバンク角が増えると変わってしまいます。
バイクもライダーも構造上、感じたりコントロールしやすいのは、
左右に傾く(ロールする、横に傾ける動き)
左右に向く(ヨー運動、腰を捻る動き)
前後に傾く(ピッチング、お辞儀する、のけぞる)
なので、
この仕様でスピンに合わせていきます。
(もしかすると、斜めの軸や軸感を持っている方もいるのかも?
僕は持っていません。)
車体のコントロールをする軸.pdf
スピンをしていく時、
4輪の自動車の場合は、ハンドルを切って、
直立のまま横に向く動きで、地面に沿って回れます。
バイクの場合は、
斜めに傾きながら横を向く動きをします。
ここで、単に横を向くヨー運動だけだと、
フロントが地面に刺さってしまう様な動きになってしまいますので、
地面に沿うためにピッチングの運動を同時に行っています。
つまり、
バイクがターンに移行していく時は、
バンク角を徐々に増やしながら、
曲がり初めのヨー運動メインの動きから、
フルバンクに向かってピッチングを増やした動きに、
移行しながらスピンを増やしていきます。
(転けてスピンしている時は100%ピッチングです。(^◇^;))
中級者以上になるとバンクに慣れて、
バンク角が増えてターンのスピードも上がってくるということは、
それだけ速い向き替え=スピンの加速が欲しくなります。
速いスピンを得るには、
・大きな力をかける
・軽くする(邪魔をしない)
・慣性モーメントを減らす(身体を車体の重心に近くする)
です。
ちょっと話が逸れますが、
最近は流行りでパニアケースを使う方がとても多いです。
重心から離れた重い荷物=慣性モーメントが大きい→スピンしにくい。
ので、荷物で重心は高いのにとても曲がり難くなります。
またスピンは、外部からの力無しでは起こりません。
ということは、グリップの一部をスピンに使っているということです。
それを踏まえて、荷物も走りも組み立てると良いと思います。
反対に、
グリップの低いところを速く走るモトクロスバイクは、
遠いところの重量物を廃し、車体の中心に集め、
コンパクトなシングルエンジンを使っているというのは、
低グリップでもスピンを起こしやすいという事。
とても理にかなっていて美しいデザインだと感じます。
さて、
バンク角が大きくなるにつれて、
車体のスピンを速くしやすくするには、
前後方向への回転=ピッチングの回転を
身体の動きでフォローしてあげるのが効果的ということになります。
ブレーキングを伴う単純なターンの場合を例にします。
ブレーキ時の上体の位置の遷移.pdf
ブレーキをかけて減速する時は、
身体の前傾度を後ろに残した姿勢になります。
ターンに侵入するので、徐々にバンクを開始。
同時にブレーキをバンクに合わせてリリースしていきます。
(初期は、ヨー運動がメインなので身体は残しておきます。)
バンクが深くなってきたらリリースに合わせて、
前傾度をコーナリングのフォーム時の前傾に戻していきます。
(ここで抜重「感」が出ます)
フルバンク(パーシャル)で完全にコーナリングフォームに戻ります。
身体を車体に対して前傾させることは、
下半身は反対に車体を後ろに回転(ピッチング)させる動きであり、
車体のピッチングを邪魔しません。
また、パーシャルで前傾姿勢に戻っていることは、
・加速の姿勢に近いので、加速に移りやすい。
・身体の重心が車体の重心に近づき慣性モーメントが小さくなる。
・リヤタイヤのスリップアングルが増える動きに合う。
という効果もついて、色々お得です。
ちなみに、
ジムカーナなどの低速系では、
リヤタイヤの上に身体を残した方後ろ荷重で、、、
なんていう会話が時々聞こえてきます。
半径が小さく、極低速では、スピンを開始する時に舵角を多く使い、
フロントを横に振るようにリヤを軸にスピンを増やします。
また極小ターンは、なるべくリヤ側に身体を置くと、
内輪差の影響で後ろの方が旋回の中心に身体を入れられて
遠心力を低減できる。という寸法上の効果から、
「スピンを加速するためにリヤに乗る」のが「良い感覚」として得られます。
(得られてしまいます)
しかし、あまりに後ろの方に身体を残したままにすると、
重い身体が車体の重心から遠くなってしまい、
慣性モーメントが増えた状態で定常円のスピンをする事になり、
フルバンクでのスピンの速度にはマイナスになりやすいです。
ので、車両の仕様にもよると思いますのでほどほどに。
羽根の先端に錘を付けたブーメランを投げるイメージすると、
NGの理由がわかりやすいかと思います。ご参考まで。
旋回でのピッチングの動作の効果を感じられ使えるようになると、
前傾し難いほどの高くて近いハンドルへの交換は、
直線は楽かもしれませんが、コーナーを曲がるには、、、( ̄▽ ̄;)
と、いうことが理解できると思います。
白バイ仕様も絶妙に高すぎなくて近くないですよネ。
公道は法令遵守、安全運転で、どうぞご安全に。
練習はSRTTでどうぞ。
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